児童相談所の一時保護期間はどれくらい? 延長の理由や親ができること
児童相談所の「一時保護」は、子どもの安全確保を目的とした制度です。
一時保護の期間は、法律上「原則2か月以内」とされていますが、ケースによって延長されることもあります。さらに期間の延長には家庭環境や調査の進行状況、裁判所(地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所のいずれか)の判断などが影響し、保護者が独力で状況を改善することが難しい場合も少なくありません。
今回は、一時保護期間の原則や延長理由、一時保護の目的と流れ、そして親としてできる対応などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、児童相談所の一時保護期間は上限2か月
児童相談所による一時保護はどのくらいの期間継続されるのでしょうか。
まずは、制度上の原則と実態について確認しておきましょう。
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(1)一時保護期間は上限2か月が原則(児童福祉法第33条)
児童相談所の一時保護は、児童福祉法33条に基づき行われる措置で、その期間は原則2か月以内とされています。
対象となる事例は、虐待疑いだけでなく、家庭不和、育児困難、精神疾患、学校や周囲とのトラブルなど多岐にわたります。
保護者の同意の下で行われる一時保護もありますが、子どもの安全確保が急がれると判断された場合には、保護者の同意がなくても実施されることがあります。また、実務では警察との連携により保護されるケースもあります。 -
(2)一時保護の平均期間は32.7日
法律上の一時保護期間の上限は2か月ですが、こども家庭庁の資料によれば、全国の一時保護の平均期間は32.7日とされています。
ただし、以下のようなケースは一時保護期間が延びやすい傾向があります。
32.7日は、あくまで統計上の数字であり、家庭状況・子どもの状態・調査の進行度・司法手続の有無などによって継続期間は変動します。 -
(3)保護期間中の子どもの生活は?
一時保護中の生活は家庭と比べて制限があります。通学、外部との連絡手段、面会などについては以下のとおりです。
① 通学は原則不可
一時保護中は、外出が制限されるため、学校への通学はできないケースが一般的です。学習時間は施設内で確保される場合もあります。
② 通信制限がある
児童相談所は調査の中立性や子どもの心理的安定を重視するため、保護者や友人との自由な通信は制限されます。
③ 面会も制限されることがある
児童虐待や争い事が疑われるケースでは、保護者の接触により調査が妨げられる可能性があるため、面会が慎重に扱われます。保護者の側からは「子どもと連絡が取れない」「学校に行けていない」といった不安や焦りの声が多く聞かれます。しかし、一時保護制度の目的が子どもの安全確保と状況把握にあるため、調査期間中はこうした制限がつきやすい点を知っておきましょう。
2、一時保護制度の目的と流れ
一時保護は、保護者を罰したり、非難したりすることを目的とする制度ではありません。以下では一時保護の目的と実際の手続きの流れを説明します。
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(1)一時保護は「子どもの安全確保」を最優先とする措置
一時保護の目的は、子どもの生命・身体の安全確保にあり、親子関係の破壊や懲罰を目的とはしていません。
一時保護の対象となるケースは、以下のような事案に及びます。一時保護の対象となるケース
- 子どもの心身に危険があると判断された場合
- 保護者の精神疾患や依存症が疑われる場合
- 育児放棄(ネグレクト)
- 生活基盤の不足や経済困難
- 子ども本人の問題(非行・不登校など)
子どもの身体に目に見えるアザや傷などがなくても、保護者からの過度な暴言や不適切な性的接触の疑いなど、安全確保のために慎重な調査が必要と判断されると、児童相談所は、一時保護を選択することがあります。
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(2)緊急性があると判断されれば強制的に実施される
一時保護には、保護者の同意を得る「同意保護」と同意を得ずに行われる「強制保護」があります。
このうち、虐待が深刻であったり、緊急性が高かったりする場合は、保護者の意思にかかわらず、児童相談所が警察と連携して強制的に一時保護が実施されます。
保護者にとっては突然の連れ出しに感じられることが多く、「なぜ」「いつまで」という疑問や不信感が生じやすい場面ですが、制度上は子どもの安全を優先するための措置です。 -
(3)一時保護の流れ
一時保護の流れを理解するうえで重要なのが、令和7年6月1日から開始された司法審査手続です。
この制度は、児童相談所の一時保護に司法のチェックを入れる仕組みであり、以下の2通りが設けられました。- 事前請求:一時保護開始前に裁判所が一時保護の必要性を審査する場合
- 事後請求:一時保護開始後に裁判所が一時保護の必要性を審査する場合
実務では、現場運用や緊急性への対応を踏まえ「事後請求」が主流になると予測されています。以下では、事後請求を想定した一時保護の流れを5つのステップで説明します。
【一時保護の流れ(事後請求)】
① 通告・相談
児童相談所に対して、近隣住民や学校、医療機関、警察、家族等から通告が入るほか、保護者自身が相談することもあります。
② 児童相談所による調査
家庭への訪問や聞き取り、学校・医療機関・警察等から情報を収集します。
③ 一時保護の決定(同意保護・強制保護)
緊急性が高い場合は保護者の同意なく保護されます。
④ 司法審査手続(事後請求)
強制保護が実施された場合、一時保護の必要性について、一時保護開始日から7日以内に児童相談所が裁判所へ請求し、司法判断を得ます。審査では、保護の必要性や相当性がチェックされます。
⑤ 一時保護状の発布または却下
裁判所が一時保護を認めた場合、一時保護状が発布され、保護が継続されます。
裁判所が請求を却下し、児童相談所所長等がその判断を不服とする場合には、児童相談所は却下された翌日から3日以内に請求却下の裁判に対する取消請求を行えます。
取消請求では再度一時保護の必要性が審査されますが、請求棄却となった場合には児童相談所は速やかに一時保護を解除しなければなりません。
3、一時保護が延長になる理由と、親(保護者)ができること
一時保護の期間は、法律上「原則2か月以内」とされていますが、実務では家庭事情の複雑さや調査の進行状況によって延びるケースがあります。以下では、延長になる理由と、実際に親(保護者)ができるアクションを説明します。
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(1)理由1│家庭環境の安全・監護能力が認められない
一時保護期間延長が検討される典型的な場面は、家庭環境が子どもの安全にとってリスクがあると判断された場合です。
2章で前述した通り、例えば以下のような場合も含まれます。- 親の精神疾患、依存症問題
- 家庭内不和、DV
- 育児放棄(ネグレクト)が疑われる
- 教育や生活面の監護能力に課題がある
- 経済的困難や生活基盤の不安定
児童相談所は、保護期間中に心理アセスメントや医療機関受診の結果も踏まえ、家庭が子どもにとって安全な環境になり得るかを見極めます。改善の可能性があると判断されると支援へつながりますが、改善の見通しが立たない場合には長期化しやすい傾向があります。
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(2)理由2│2か月では調査が不十分と判断された
一時保護では複数機関により、主に以下のような調査が行われます。
一時保護時に行われる調査
- 子どもの心理的、身体的評価
- 学校、医療機関、警察などからの聞き取り
- 保護者への事情聴取
- ケースワーカーや医師などの専門家による「ケース会議」
- 医療機関の診断書等の取得(※適宜)
- 家庭訪問(※適宜)
調査の対象が広いため、調整だけでも時間を要することがあります。とりわけ、家族関係が複雑な事案や、親と子の両方に別途支援機関が関わっているケースでは、統合的な判断に時間がかかることも珍しくありません。
「期間が延びる=保護者が悪い」ということではなく、制度上、子どもの福祉を担保するための判断材料をそろえる時間が必要とされる側面がある点を知っておきましょう。 -
(3)理由3│「28条審判」に進んだ
28条審判とは、児童相談所が子どもの施設入所が必要と判断した際、親がこれに同意しない場合でも、裁判所の承認を得て強制的に措置をとるための手続きです。
一時保護とは異なり、長期的な保護措置を前提とした制度であり、その期間は、原則として2年以内と定められています。
そのため、一時保護から28条審判に進んだ場合には、保護期間が長期化する可能性があります。 -
(4)親(保護者)としてできることは?
一時保護が延長された場合、保護者にとって大切なのは児童相談所と対立するのではなく、状況改善に向けた協力姿勢を示すことです。
具体的には、事実関係を整理して誤解が生じるのを防ぎ、求められる資料を速やかに提出し、カウンセラーや医療機関、児童相談所問題に強い弁護士などと連携しながら家庭環境の改善を示していくことが有効です。
また、児童相談所との対話においては子どもの利益を最優先に考える姿勢を見せることで信頼回復につながります。
もし28条審判など法的手続に移行した場合は、保護者だけでは対応が難しい場面も多いため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
4、「一時保護期間が長い」「不当だ」と悩んだら弁護士に相談を
一時保護が長期化すると、子どもと連絡が取れない不安や、学校生活が止まってしまう焦りから、児童相談所への不信感が高まりやすくなります。
このような場合、感情的な対応は逆効果です。弁護士の冷静なアドバイスとサポートにより、一時保護期間の短縮や家庭復帰への可能性を高められる場合があります。
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(1)弁護士が代理人となり児相と交渉
児童相談所との連絡や説明は、専門用語が出たり、背景事情を聞かれたりするため、保護者だけでは対応が難しいことがあります。
弁護士が代理人として入ることで、児童相談所が何を心配しているのか、どの点が延長理由なのかが明確になり、必要な資料や説明を整理したうえで話し合いを進めることができます。
また、保護者からは直接言いにくいことを第三者が伝えることで、話し合いがスムーズになる場合もあります。 -
(2)一時保護期間が短縮できる可能性が高まる
延長の理由が「調査に時間がかかっている」「資料がそろっていない」「誤解がある」など手続き上の問題であれば、弁護士が整理や補充を行うことで状況が改善され、子どもが家庭復帰できる可能性が高まることがあります。
児童相談所は、子どもの安全を基準に動くため、反発するよりも、弁護士を通して適切な説明と資料提示を行うなど、安心材料を示すほうが有利に働きます。 -
(3)28条審判への対応をサポート
一時保護が長期化すると、裁判所での「28条審判」に進むケースがあります。審判では、書面の提出や意見の整理が必要で、保護者だけで対応するのは負担が大きく、適切な主張が伝わらないリスクもあります。
弁護士は、審判の見通しを説明したり、必要な資料をそろえたりといったサポートを行い、子どもの家庭復帰の可能性や適切な措置につなげます。
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5、まとめ
児童相談所の一時保護は、子どもの安全を最優先とする制度であり、法律上は原則2か月以内とされています。しかし、実際には1か月程度で終わるケースから調査や審判手続のために延長されるケースまでさまざまです。
一時保護中は、子どもの通学や自由な通信が制限されることもあるため、保護者は不安を抱えやすく、「期間が長い」「理由がわからない」と感じる場面も少なくありません。
そのような場合には、制度や手続を理解した弁護士に相談することで、状況整理や児相とのやり取りが円滑になり、子どもの家庭復帰や期間短縮の可能性が高まることがあります。一時保護の対応でお悩みの方は、児童相談所問題に強い専門チームを有するベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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